施設の防火管理者|防災の日

施設の防火管理者|防災の日

防災の日

毎年9月1日は防災の日。この日を含む1週間(8月30日~9月5日)は防災週間です。<施設の災害対策・防火訓練の記事はこちら

ヴィラ羽ノ浦では、地震等によって水害や火災が発生することも想定して、災害対策をしています。今回は、避難訓練の計画を立てるなど、火災等による被害を防ぐための防火管理を主に行っているヴィラ羽ノ浦の防火管理者 麻植恵さんに話を聞きます。

施設の防火管理者

-普段は介護職員

特養・ショート入所されている要介護、要支援高齢者に対して必要に応じた日常生活上のお世話(食事・入浴・排泄の介護、健康管理、レクリエーション等)をさせていただいています。防火管理者|特養

-施設の防火管理者となったきっかけ

消防法によって、ヴィラ羽ノ浦は防火管理者を置かなければならない施設に該当しております。前任者の退職に伴って、2019年に防火管理者に選任されました。

-防火管理者とは

多くの人が利用する建物などの火災等による被害を防ぐため、防火管理に係る消防計画を作成し、防火管理上で必要な業務を計画的に行う責任者を指します。消防法では、一定規模の施設等では、防火管理者を選任して、業務を行わさせなければならないとされています。

-施設の防火管理者の人数

1名です。防火管理者は、防火対象物全体の収容人員や延べ面積で選任が義務付けられていて、ヴィラ羽ノ浦では施設長も防火管理者講習を受講していますが、施設の防火管理者として消防署へ届出・選任を受けている者は1名だけです。

-防火管理者の資格を得るには

防火管理者講習を受ける必要があります。総務大臣登録講習機関が行うこととされている研修で、講習修了資格は全国共通です。防火管理の意義及び制度、火気管理、施設・設備の維持管理、防火管理に係る訓練及び教育、防火管理に係る消防計画などの内容を概ね10時間学びます。防火管理者には乙種と甲種があり、私は、すべての防火管理対象物において選任されることができる甲種を取得しています。

-施設の防火管理者の業務について

毎日、特別な業務があるわけではありませんが、年2回、消防計画の作成と訓練実施に向けた段取り(訓練に参加する職員、入所者さん・利用者さん、消防や提携している防災業者との連絡調整等)から当日の訓練実施が施設の防火管理者としての主な業務です。その他、消防用設備等の日常点検として、消火器が既定の場所に設置されているか、その周囲に障害物がなく容易に取り出せるようになっているか、というように、主に外観から判断できる点検を日頃から行っています。

-特養における消火訓練・避難訓練の難しさ

過去に発生した高齢者施設が被災した例から、国土交通省も骨子高齢者福祉施設における 避難の実効性を高める方策について (骨子)をまとめていますが、やはり重度の要介護者や認知症高齢者に対して、いかに避難の実効性を高める訓練が実施できるか、という点でしょうか。

-職員在宅時の発災

夜間など在宅時における発災に際しては、私のような施設近隣在住者に対して、最初に参集がかかります。まだ実際に経験はないのですが…。ヴィラ羽ノ浦へ到着したら被災状況等の情報収集をし、施設長へ報告。施設長の指示を受けて行動することになります。また、施設長が被災してヴィラ羽ノ浦へ来れないことも考えられるため、市や消防との連絡役を防火管理者が担うことも想定しています。そのため、避難訓練時においても、防火管理者は、特定の役割を担うのではなく全体を見渡せる立ち位置で、職員の動きや注意点を確認できるようにしています。

-施設の防災設備

施設の防災設備を使って避難訓練を実施していますので、訓練の流れに沿って説明します。

①「感知器」が火災の煙や熱を感知して受信機に伝えます。

②感知器から火災信号が送られると「火災受信機の警戒区域図」で発報場所(感知器等が作動した箇所)が示されます。警戒区域図に示された場所へ向かい、火災か誤報かを確認します。

③-1 火災の場合、「消火器や消火栓」を使った初期消火を行います。設備等の場所・使い方を覚えることも大切です。

③-2 火災通報装置は消防署と連動しています。火災受信機で火災信号を受信すると自動で消防署へ第一報が通報される仕組みになっています。職員からも消防署へ連絡を入れ状況を伝えます。また、館内放送では、避難を呼びかけます。

④スプリンクラー(ポンプ)が作動(熱により普段は閉鎖されている水の出口が溶けて放水する仕組み)します。このスプリンクラーによって、よほど想定外の火災でなければ消火可能だそうです。これらがヴィラ羽ノ浦における主な防災設備です。幸い、スプリンクラーが作動する事態になったことはありませんが、設備の定期点検も欠かせません。

-避難訓練の総評

避難訓練(6月実施)においては、予め発見者や通報役、初期消火班、避難誘導班などの役割を決めて行動しているためスムーズでした。避難誘導訓練に問題無く参加できるデイサービスの利用者さんも参加してくださいました。皆さん真剣に取り組んでくださっています。

職員については、火災の第一発見者が大きな声で火災発生を知らせ、消防への通報・避難誘導も慌てず落ち着いて訓練に臨めていたと思います。

本当の発災時は訓練のように上手くいかないことも考えられます。職員一人一人が、どのような防災設備がどこにあるのかをしっかりと把握し、実際に火災が発生しても落ち着いて行動して、負傷者や死亡者を出さずに消防へ引き継ぐことが重要だと改めて感じました。

-災害時の心構え

災害時、とにかく負傷者・死者を出さないことが重要です。日頃から防災意識・知識を高め、いざという時に自分が担っている役割をしっかり果たせるように、訓練でも実際の火災と捉えて真剣に、冷静・沈着に行動することが重要だと考えています。

―防災の日の今日、改めて災害対応力を強化することの大切さについて考えさせられました。今後大きな災害のないことを願いつつ…

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