長引くコロナ禍の下、施設の入居者さんにとって、家族との直接面会にも影響を与えています。口には出さないけれど、入所者さんも寂しさを抱えていらっしゃるのでは、という思いから「ヴィラ羽ノ浦 繋がるproject★心をこめて絵葉書を」がうまれました。
繋ぐプロジェクトを立ち上げた介護主任・介護福祉士 吉田夕子さんに、詳しく聞きます。
「直接会うことは出来ないけれど、元気にしていることを伝えたい。そして何か形に残したい。」をテーマに、感染予防のため直接面会できないご家族にあてて、入所者自身で元気に生活していることを伝えることを目的としたプロジェクトです。今回は、字が書ける、塗り絵が出来るといった、ADL能力が高い入所者さんに絵葉書を描いていただきました。
面会禁止期間が延長されることになり、ご家族からも「会えないの?」と聞かれたり、入所者さんの寂しそうな顔を見たりするなかで、「何とかしたい!」と思ったことがきっかけです。
面会禁止になってから直接話す機会がなく、オンライン面会や、職員を通した状況報告等になっています。ご家族からも、会えないだけに元気にしているか心配され、入所者さんの体調を気に掛けた電話を多くいただきます。
文章を書く動作により身体機能の維持・向上を、色彩を考え、指先を使って色を塗ることには脳の活性化と、心を明るくする効果が期待できると言われています。誰かと一緒に作業をすることや、家族との繋がりを意識することにより生きがいを創出するきっかけとなるかもしれません。
葉書ならサイズ面での作業負担も軽いと思ったこと、作品になること、何より想いを届けたい!ということから絵葉書にしました。絵葉書を描くことによる視覚や脳への刺激と、自分で描き上げたという喜びだけでなく、受け取ったご家族には「元気にしているんだな」という安心感や繋がり、力作への感嘆を得ていただけるのではないかと考えました。
絵を描くのは好きです!でも自己流です。上手かどうかは…
入所者さんに参加してもらえるかどうかの聞き取りにおいて、決して押し付けず、意欲的に参加してもらえるような声掛けに努めました。また、感染予防のため、1日1回、2名までとしました。
初回ということもあり、季節のイラストを印刷した葉書を何種類か用紙して、その中から選んで、色鉛筆による色塗り、文章書きと進めました。作業中、職員は補助役に徹して、気持ちよく筆を進めてもらえるように声掛けをさせていただきました。絵葉書の完成後、職員が宛名を書かせていただきました。
「えっとぶりやけん、字が書けんようになってるわ~💦」「どない書いたらええん?」「(家族の顔を思い浮かべるような感じで)誰に書こうかいなぁ…」等々口にしながら、楽しそうな様子でした!
ポストに投函する…のではなく、実は、郵便局員さんが配達のために施設に来た際に、回収してくださいます!これも社会との繋がりのひとつです。
年賀状や季節見舞いの手紙を送る方もいらっしゃいましたが、年々減少しています。今回は職員からのお声がけで絵葉書を書いていただきましたが、これを機に入所者さんにとってのルーティンになれば良いなと思っています。
先日、絵葉書を出したばかりということもあり、まだ感想をお聞き出来ていません。折をみて、お聞きしてみたいと思っています。
1回にできる人数等に限りがあり、入所60名のご家族へとなると、今から始めても年賀状になってしまうことがありえますが、続ける予定です。また、字を書くことが難しい方にもフィンガーペインティング的な手法なら絵葉書を描いていただけるのでは?と思案中です。
絵葉書の次は、手作りの贈りもの等を検討中です。長引くコロナ禍における入所者さんは、毎日、施設の中だけで過ごされています。気分が下がることもある中、夏祭り企画で季節を感じたり、絵葉書企画で社会との関わりを持ったり、ちょっとしたレクリエーションを喜んでくださっています。今後も、色々な取り組みを工夫しながら企画し続けたいと思っています。
離れていても、会えなくても、想いで人は繋がります!
コロナ禍の状況でもご家族や社会との繋がりを保とうと現場職員が工夫を凝らして色々な取り組みを考えてくれています。「こんなことをやってみたい!」と職員が意欲的かつ気軽に企画を打ち出せる雰囲気作りと、それを円滑に実行へ「繋ぐ」ことができるよう今後もフォローアップしていきたいと思います。
人を想う気持ちこそが人を助けること、仕事をこえた想いとあたたかさを感じました。共に、コロナ禍を乗り切りましょう!