介護助手の1日|アクティブシニア|前編 

介護助手の1日|アクティブシニア|前編 

介護助手

当施設には、介護助手が2名在籍しています。アクティブシニアを対象とした「徳島県版介護助手」として試用的雇用から継続契約に至ったふたりの年齢は60代後半~70代前半。

※「アクティブシニア」に明確な定義はありませんが、概ね60歳以上で、仕事・趣味などに意欲的に取り組む元気な方々を指します。

厚生労働省が発表した「2025年に向けた介護人材にかかる需給推計(2015年)」によると、2025年にはおよそ37万人の人手不足が発生すると予測されています。また、徳島県は全国で6番目に高齢化が進んでおり(「総務省統計局2019年10月1日現在人口推計要約」)、アクティブシニアに介護の担い手となってもらおうと、2017年に「徳島県版介護助手」制度を創設。2019年にモデル事業が始まりました。

※徳島県版「介護助手」では、概ね60歳以上の方を対象に、3か月間の試行的雇用を行います。期間修了後は施設と相談の上、継続雇用の場合あり。介護助手は資格不要。有資格(初任者研修や介護福祉士など)の介護職員が専門的介護業務に専念できるよう、部屋の掃除やシーツ交換といった介護周辺業務に携わります。

事業の目的は、シニアの「生きがいづくり」と施設の「介護人材の確保」をマッチングさせることです。施設側からは、介護助手が介護周辺業務を担うことにより、専門職による個別性の高いケアの充実や人材不足の解消に繋がることが期待されています。

当施設は2019年度の導入モデル施設に選定され、徳島県版介護助手としての試行的雇用を経て、ふたりが継続雇用となりました。

当施設における介護助手の業務は、入浴の準備・衣類等の洗濯・居室やホールの清掃、ゴミの廃棄・食事の配膳、片付け・ホールでの見守り・会話などです。

募集記事 2019年7月21日><入職時の記事 2019年9月30日

今回は、導入時(2019年)から介護助手として勤務してくださっているひとり、四宮弘一さんにお話を伺います。

―自転車通勤をされているそうですね

 

片道20分、体力づくりの一環として自転車通勤を続けています。

―週4日、午後から4時間程のご勤務。ご担当の業務は

浴室のシャンプー・ボディソープの補充、排水溝の清掃、食堂の床及び洗面台の掃除、居室ドア・手すり・トイレの消毒を主軸に、頼まれたら修繕もしています。

―施設の広さや居室数(60室)を考えると、相当な運動量ですね

思っていたよりも体力的だと思いました。

―介護助手への応募のきっかけや前職について

40年以上にわたり、製薬会社の研究職に就いていました。退職後、新しい環境で、今度は身体を使った仕事をしたいと思ったのがきっかけです。未経験分野での仕事でしたので、平成30年度高齢者活躍人材育成事業に係る「介護スタッフ養成講習」を受講し、縁あって自転車通勤圏内のヴィラ羽ノ浦に介護助手として就労できることになりました。

―「体力的な」仕事を希望されていたとはいえ、暑い日が続いていますし、何か対策は?

仕事中は、区切りがついたら、持参したお茶を飲んでリラックスするようにしています。それに、コロナ禍でもありますので、調子が悪いと思うときは遠慮なく休ませてもらっています。

―新しい環境での新しい仕事に戸惑いは

介護助手は入所者さんの身の回りのお世話や話し相手をする比較的軽微な、介護の周辺業務ということを理解して入職しているので、特に違和感や抵抗などはありませんでした。実際に業務に就いてみると、思ったより仕事量があったので、計画的な作業手順を前日に想定するようにしています。

―これまでの経験が活かされたことは

家や道具の修繕をしていたことが、施設のちょっとした修繕に役立っています。

―業務でのやりがい

一日の課題が満足いく出来栄えに達成できたときには達成感があります。

―失礼を承知でお聞きします。同年代の方が入所者さん、利用者さんであることに何かしら巡る思いはありますか

人は個人差があり、千差万別であることから、特別な感傷は抱いていません。

―新しい環境で働きだして、生き方や生活での変化は

仕事では、時間内に業務を終わらせるという、時間に追われるような感覚があるので、ゆったりと過ごせる休日のありがたさを感じています。

―帰宅後や休日はどのようにお過ごしですか

静かに音楽やラジオ番組(カルチャーラジオ等)を聴いたり、読書、サイクリング、買物などでくつろいでいます。

―四宮さんにとって「働く」って何でしょうか

個性のある人達と理念を共有して、適当な距離感を持って多様性を重んじて協働することです。

―人生100年時代、生き方の指南・アドバイスをいただけますか?

人は何歳になっても毎日が学びの連続であり、浪費する時間なんてありません。何か失敗したことがあっても、その中に学ぶことが必ずあり、それを見出すことで成長に繋がります。

答えがない、先が見えないとも言われるこれからの時代にあって、新しい働き方・生き方に向かって歩みを進めている姿に、先駆者としての力強さや「今」に合わせる柔軟性を感じました。ありがとうございました!

写真左:坂本さん 右:四宮さん

ー続いて、久世施設長に伺います。今回ご紹介したアクティブシニア介護助手は、今年度も募集が始まっています。詳しく教えてください

徳島県社会福祉協議会より、今年度「アクティブ・シニア生涯活躍加速化事業 介護助手等導入モデル施設」として選定されたと連絡をいただきました!2名の介護助手を採用を考えています。

―偶然とはいえ、この記事とすごくリンクしました

8/5(木)14時からヴィラ羽ノ浦にて事業説明会を開催します。ご興味のある方は是非ご参加ください。説明会への申し込み、問い合わせは0884-21-8181 施設長・久世までお願いします!

事業がはじまってすぐにアクティブシニア介護助手を導入したきっかけ

当施設は掃除をするとなると結構ボリュームがあり、職員がカバーするにも余裕がないなぁ、と思っていたところへ、県社会福祉協議会から事業概要についての通知が届き、「これだ!」と思ってすぐに事業参加のお伺いをした次第です。

―介護助手2名が来てくださるようになって、変わりましたか

ズバリ!居室やホール等の療養・職場環境が美化されました。決してそれまでも手を抜いていたわけではありませんが、特定の日時、業務に専念してもらえることで、入職後間もなくから効果が現れました。職員も気持ちよく介護の専門業務に専念できるようになり、また、一生懸命作業に取り組む姿に職員も刺激を受けました。

―久世施設長からひとこと!

徳島県が2017年度から始めたモデル事業=徳島県版「介護助手」制度が創設された背景には

  1. 今後も進む高齢化
  2. 介護現場の人材不足
  3. シニアの就労希望

という、現在すでに直面していて、今後さらに深刻になるであろう状況があります。

創設から4年(2017~2020年度)で219名がこの事業に参加(施設での試行的雇用)し、143名(65%)が(試行的雇用後も)継続雇用されています。

一方で事業説明会に参加された方が689名いたにも関わらず、採用面接に進んだのが389名と4年間の実施を経て課題も浮き彫りになってきました。事業へ参加する(介護助手を受け入れる)施設数が十分ではない、介護助手が担う業務が明確でない、施設側とシニア間で希望する業務内容や勤務時間のミスマッチ等が原因と考えられています。

こうした課題を一つ一つ解決していくことで徳島県版介護助手制度がまずは徳島県内でさらに普及・定着し、全国のモデル事業となれば…嬉しいです。

「元気なシニアの皆さん!!住み慣れた地域で『介護助手』として働いてみませんか?」

久世施設長、渾身のメッセージをありがとうございました。次回は、介護助手 坂本ミドリさんにお話を伺います。ぜひご覧ください!

 

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